前回は私が高校時代に受けた被害について書きました。今回から少し「痴漢」という語について、その歴史や特質などについてわかったことを書いていきたいと思います。
『日本国語大辞典』(小学館)によると、「痴漢」には二つの意味があるということでした。
一つは「馬鹿な男」。もう一つは「女性に淫らな行為をする男」です。
そしてその用例を見ると、前者は7世紀の『北史』という歴史書に用例があるのに対し(日本の初出は、なんと18世紀!!!)、後者は20世紀の日本の用例が一番早い例として取り上げられていました。
ここから少なくとも三つの疑問が生じます。
一つは、なぜ中国と長い交流があり、大きな影響を受けてきた日本に、中国語の「痴漢」という言葉が長い間入ってこなかったのか、というもの。
もう一つは、なぜ18世紀になって日本でも「痴漢」という語が広まったのかという疑問。
最後は、どうして20世紀になって意味変化が起こったのかという疑問です。
それに加え、こんな疑問も出てきます。
中国では7世紀以降、この言葉はあまり書物(特に歴史書)には現れないのですが、それはなぜなのか。
こうした多くの疑問が湧いてきました。ですから、まずはこれらの疑問から解く必要があると考え、この研究を進めていきました。
次回は、こうした疑問に答えるような形で「痴漢」という語の歴史や特質について述べたいと思いますので、お楽しみに!!!
引き続きよろしくお願いします。
8件の返信
「痴漢」という言葉の意味を深く考えたことがありませんでした。なるほど、元は「馬鹿な男」で途中から意味が変わったのですね。
「女性に淫らな、、」の意味では、もしかして違う言葉があったのでしょうか?
続きも楽しみにしております。😊
いつもコメントありがとうございます☺️
あまり考えずに使っていますよね。
後から書きますが、中国では今でも元の意味に近い言葉として使われているそうです。
あと今の「痴漢」の意味が広まる前は、「色き○○い」とか「色情狂」などという言葉が使われていました。
また続きもお楽しみに!!!
引き続きよろしくお願いいたします🙇♂️
なるほど。その二つの言葉も聞いたことがありました。今でも使いますよね?でも「痴漢」のような「犯罪」のニュアンスはあまりない気がします。
添付の浮世絵、なんとも面白い絵ですね😆痴漢の二文字がありますね。この絵にも興味津々…
お話しの続き、楽しみです😊!
おっしゃる通りです☺️
実は「痴漢」が今の意味になり、事件性を感じるようになるのは、大正から昭和初期にかけて大量に書かれた大衆小説、特に当時、探偵小説と呼ばれた小説の中で、女性に犯罪行為をする男に「痴漢」という語がたくさん使われたからです。
しかしながら、本当に「痴漢」が犯罪として認められるためには、そこから80年くらいの月日が必要でした。1990年代、ようやく「痴漢」が犯罪だと公に認められるようになりますが、それまでは社会問題ではあっても犯罪ではありませんでした。
このあたりもわかりやすく書ければと思っておりますので、楽しみにしておいてください。
いつもいい質問、ありがとうございます!!!
ちなみに添付した写真は、式亭三馬の黄表紙の表紙の一部を拡大したものです☺️
より具体的には『古今百馬鹿』という樹表紙の表紙の一部になります☺️
文化11(1814)年に刊行された本です☺️
ありがとうございます😊
『古今百馬鹿』、すごいタイトルですね!😅
それにしても、「痴漢」はつい最近、1990年代まで、社会問題ではあっても「犯罪」ではなかったのですね。驚きです。確かに「痴漢は犯罪です」と公共交通機関にわざわざ貼り紙してあるのをよく見ました。
先生のブログ、大変勉強になります😊
1990年代、いろんなことが進みます。
「女性専用車両」の導入もその頃になります。
「痴漢は犯罪です」的なポスターが貼られたりするのもこの頃です。
それまでは痴漢にあった人は泣き寝入りするしかなかったんですね。
今から考えると非常に恐ろしいことですが・・・。
ただ、今でも痴漢は地方の刑法である「迷惑防止条例」でしかありません。
もっと国単位で取り組むべき犯罪だと思うのですが。。。
また引き続き読んでいただけるとありがたいです!!!
よろしくお願いいたします🙇♂️☺️❤️