気になることを書いたついでに、どうしても書いておきたいことがあります。私はこのブログをずっと「です・ます」調で書いています。その方が親しみを感じてもらえるかなと思ったからです。
ですが、歌の場合はどうでしょうか。そう歌謡曲とか、J-POPと言われる歌の中のことです。時々、「です・ます」が入っている歌はありませんか。例えば、名曲と言われるはっぴーえんどの「風をあつめて」(松本隆作詞)の歌詞は「見たんです」といった表現が多用されていますね。またこれも古い例ですが、ピンクレディーの「カルメン’77」(阿久悠作詞)の歌い出しは「私の名前はカルメンです。あーもちろんあだ名に決まってます」というようになっています。
私にはそれがとても気になるのです。なぜ、「です・ます」で表現するのか。いつからこうした歌詞が登場したのか。辞書的には「です」と「ます」は同じ「丁寧語」であり違いがないと書かれているが、それは本当なのか。そんなことが気になってしょうがないのです。
そこで、「です」か「ます」という語が終止形で入っている歌だけをまずは集めてみました。そしてこれを「です・ます」歌と名付けました。
今、私が集めることができた「です・ます」歌、160曲を分析すると、面白いことがわかってきました。
以下、事実だけを述べましょう。
・歌の歌詞に「です・ます」が登場するのは、1910年代、つまり大正時代のことであること。
・1950年代まではほとんど「ます」しか登場しないこと。特に「です」の登場は1930年代まで確認できない。
・「です」が本格的に登場するのは、1970年代以降のことであること。いわゆる「ニューミュージック」の時代に「です・ます」歌が急増すること。
・全体的に見ると、「ます」だけの時代→「です」の登場と増加→「です・ます」の併用という風に変わってくること。
・初期に使われている「です」の用例はみな、男の告白やセリフ中であること。
・全体的に見ると「手紙」や「恋文」の中で使われることが多いこと。
・作詞家を見ると、最初は童謡作家や新体詩人が多く、その後専門の作詞家(職業作家)が出てきて、最後に歌手も作るといった風に変わっていったこと。
といったことがわかります。
こうした傾向がなぜ起こったのかは、また次回以降に書きます。それは、日本語の敬語の成り立ちや、音楽史とは切り離せないものでした。
もし自分も「です・ます」歌を知っています、という方がおられたら、その曲を教えてください。
よろしくお願いします。
今日も読んでくださってありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。
2件の返信
こんにちは😊
確かに「です・ます」調の歌詞は少ないですね。
今思いついたところでは、中島みゆきさんの「うらみ・ます」や、井上陽水さん等が歌っている「コーヒー・ルンバ」です。あ、後者は過去形で「ました」でした😅
そうなんです!!!
意外と少ないのです。
ありがとうございます。
中島みゆきなどは確かに多そうですね。
今は範囲を最小限にしているので、過去形はまた次に考えたいと思います。
情報、ありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。